天使ガブリエルが少女マリアの所に遣わされてから、マリアが「お言葉どおり、この身になりますように」と応答するまでの間にどれくらいの時間がかかったのだろうか？と、想像してみたことがあるでしょうか。降誕劇（ページェント）では、あっという間にガブリエルは退場していきますが、聖書は丁寧に苦悩するマリアと伴走する天使を描きます。一方で、「六か月目」と記すことで、バプテスマのヨハネと主イエスの関係性がすでに準備されていたことが示されています。
少女マリアが、突然に「おめでとう」と言われることは、逃げ出したくなるほどの恐怖であったことと思われます。それでもダビデ家のヨセフのいいなづけ、またダビデの王座と、当時の救い主メシアがダビデ家の系図から出現することが、いかに大きな意味であったかを考えていくことが求められます。それほどまでに人々はローマ帝国の圧政や経済的搾取の中で喘いでいて、預言の実現が待ち望まれていたのでした。
「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産む、その子をイエスと名付けなさい。」さらに「あなたの親類エリザベトも、不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。神にできないことは何一つない。」少女マリアは、天使ガブリエルの言葉の意味をどれくらい理解できたことでしょう。
この箇所は、復活の主イエスに出逢いなおしたマリアの証なのです。少女時代に「お言葉どおり」と応答した後も聖霊の守りがあったことを、振り返っているのです。人が生きている間には、受け入れがたい状況や試練に立ち向かわなくてはならない事が起きてきます。しかし振り返ってみるとき、そこには、確かな神の介入と伴いがあったことを思い出せるのではないでしょうか。