地の果てまで
使徒言行録 1章6-8節
復活の主イエスに出逢い、神の国について40日間もの学び直した弟子たちが主イエスに尋ねるのです。 彼らは興奮していたことでしょう。何しろ絶望的だと思っていた主イエスの十字架の死が終わりではなかったのです。「主よ、イスラエルのための国を立て直してくださるのは、この時ですか」しかし、主イエスは、「神の時、神の時期は、あなたがたの知るところではない」と、言われるのでした。
それよりも、主イエスは彼らに極めて大切なことを語りだすのでした。 すでに、彼らは父が約束された聖霊が降るまで、都エルサレムにおいて待つようにと示されていました。その時が訪れ、彼らに起こされる出来事こそ、これからの大きな働きの基となることを語られるのでした。「あなたがたはエルサレム。ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、私の証人となる(1:8)」
この書には、聖霊の促しによって、主イエスを信じる人々と出会い、共に共同体を作り上げる旅が丁寧に記されています。この書を「聖霊行伝」とも言う所以でしょう。
聖霊の働きがなければ教会は成り立たないし、教会の一人ひとりが信仰告白する出来事も起こされていきません。この働きは極めてユニークな部分が多く、振り返ったときに、そこに聖霊の働きを見ることになるようです。特に困難や迫害に遭遇したときにこそ、その働きによって生かされていた証を聴き合うことができる場所こそ、教会なのでしょう。
この時代の地の果てというイメージは、巨大なローマ帝国の支配が及ぶ領域ぐらいであっただろうと言われています。彼らは、この世での軍事的、経済的な支配によって、様々な抑圧的な厳しさに直面していましたが、神の国の支配ははるかに大きく希望を持つことができると信じて記していったのです。